浜町の歴史を学び、まちを違う視点から好きになってもらうことを目的に立ち上げた「浜町歴史勉強会プロジェクト」。立ち上げ初年度となる2021年は、1976年に発掘されたナウマンゾウの化石「浜町標本」をテーマに3回にわたって勉強会を行いました。
▶︎浜町標本とは?
「浜町標本」が見つかったのは1976年。都営新宿線の掘削工事中に発見されました。ナウマンゾウは氷河期時代に日本に生息していたゾウの一種で、28,000年前に絶滅したと推測されています。体長は雄で2.4m〜2.8m、雌で2.0mと現代のゾウより少し小柄。ナウマンゾウといえば長野県の野尻湖が有名ですが、千葉県印旛沼や神奈川県藤沢市でも化石が発掘されており、関東地方にも生息していたことが判明しているんです。
浜町では最終的に3頭の化石が発掘され、その後「浜町標本」と命名。同一個体で頭蓋、体幹、四肢の全体骨格が発見されたのは初めてのことで学術的にも非常に重要な発見だったそう。
▶︎勉強会は内容を変えて計3回実施
初回勉強会は2021年5月20日(木)、浜町3丁目のコミュニティカフェ「Hama House(ハマハウス)」で開催されました。勉強会には、地元住民を中心におよそ30名が参加。本プロジェクトの代表であり日本橋浜町エリアマネジメント理事を務める稲崎 知伸さんをはじめ、五の部連合会長の高橋 伸治さん、中央区教育委員会、久松小・有馬小のPTA会長など関係者が出席しました。
勉強会は浜町二丁目西部町会の神谷俊宏さん司会のもと、講師に中央区教育委員会の生島 憲次長をお招きし「そもそもナウマンゾウとは?」という基本の部分の講義を実施。今後の活用法について参加者同士で意見交換を行う場面もありました。
続く第2回目の講義は、第1回目からおよそ5ヶ月後の10月19日(火)に開催。今回は緊急事態宣言が明けていたこともあり、浜町メモリアルを会場に実施しました。「観光資源としての浜町標本」をテーマに行われたこの会では、(一社)中央区観光協会 斎藤 裕文事務局長が講師を担当。45分間の講義をとおし、参加者からは「浜町の歴史を知ることで、まちをより大切に思えるようになった」という声が多くあがりました。
第3回目に開催したのは江戸東京博物館ツアー。12月5日まで行われていた企画展「ひきつがれる都市の記憶―江戸東京3万年史」に浜町標本が展示されているとのことで、プロジェクトメンバーで見学に行ってきました。
展示されていたのは、ナウマンゾウの下顎の化石のレプリカ。展示は1点のみでしたが、学芸員の方に発見当時のことを解説いただくなど、より浜町標本についての知識を深めることができました。
浜町標本の返還は現状難しいとされていますが、この小さな一歩が浜町標本やまちの歴史・文化を伝えていくために大切であると私たちは考えています。2022年以降も々なテーマで勉強会やイベントを開催する予定です。イベント情報は浜町の情報サイト「HAMACHO.JP」に随時更新しておりますので、気になる方はぜひご確認ください。
〈プロジェクト概要〉
・浜町歴史勉強会「ナウマンゾウの化石『浜町標本』について」
・開催日:第一回目5月20日・第二回目10月19日・第三回目11月28日
・主催:一般社団法人日本橋浜町エリアマネジメント
・協賛:安田不動産株式会社
※写真提供:中央区民マガジン